子育て問題は既に大きな日本の社会的課題へ

◆日本の社会的課題の子育て問題は社会の環境が大きく関連している

少子高齢化社会になってから随分と月日が経過しました。

今では連日連夜、この言葉が各メディアで踊っています。

日本の国は歴史を紐解きますと、基本的に人口が常に増加して来た経緯があります。

そのため政治家や企業経営者などは、想定外の事態を目前として驚きを隠せていないのが実態です。

しかもひと昔前から識者が再三にわたり、今後日本の国は人口問題で危機的な状況を抱えると警鐘を鳴らしてきましたが、リーダーが具体的な改善策を講じなかった実情があります。

そもそも少子高齢化の現象は日本国内だけの特異な事例ではありません。

いわゆる先進国が軒並みその現象に見舞われています。

欧米諸国に加えて、中国や日本といったアジアをリードする先進的な国々もまた同じ社会問題に遭遇しているのです。

日本の総人口が急激に減少する懸念は依然として低いですが、俗にいうところの現役世代の割合はここ数年で目に見えて減って来ており、高齢者の人口が増える一方で社会人としてバリバリ働ける人々とそれを支える家族の人数が減って来ているのがゆゆしき課題です。

子育て問題は個人的な努力不足によって生じているのではなく、社会の環境が大きく関連しています。

お説教の決まり文句として「何でもかんでも社会が悪いせいにしてはいけない」といった言い回しがあります。

確かに一理ある指摘です。

何でもかんでも責任転嫁をしていれば、無責任な大人になるだけです。

ただし今日現役世代が遭遇している子育て問題については、責任転嫁という意味合いではなく、本当に世間の環境が悪いせいで生じている部分が少なくありません。

◆不景気の影響で収入が減り、妊娠と出産が出来る十分な経済力が無くなっている

例えば、そもそも少子高齢化がここまで激しく進んできている背景に日本の放置されたデフレ経済が大きく関連しています。

元々日本の国は一億総中流とも呼ばれ、良い意味で庶民の中では格差がない世界でした。

サラリーマンとして真面目に働くだけで男性は安定した収入とポストが得られました。

女性は専業主婦でOKであり、今現在のように経済的な事情で忙しなくフルタイム勤務に出かける必要がありませんでしたが、近年では不景気の悪影響から、日本人夫婦の収入が実質的に半減してしまい、子育て以前にそもそも妊娠と出産が出来る、十分な経済力がなくなって来ています。

真面目な夫婦程、計画的に子作りをしますし、育児に充てる経済力がなかなか得られない近年の若年層は最初から子供をつくる事を断念します。

ようやく30代後半から40代にかけて、安定した収入源とポストを得たとしても、次は年齢的な問題で妊娠活動が難しくなり、夫婦仲は良好なのに子供を持たない決断をする、そのような真面目な夫婦がここ数年で増加して来ました。

更に指摘すると若い世代の給与はひと昔前と比較して半分以下になっており、正社員の割合も劇的に低下しています。

そのため出産以前に結婚をしない、より正確に言えば結婚出来ない若年層が爆破的に増加しているのです。

統計によっては最近の30代以下の男女の半分近くは、既に結婚を断念しており、実際に一生独身のまま過ごす若者が急激に増加して来ました。

◆社会全体が寛容性を失い、世代間ギャップも起こっている実態がある

次に社会全体が寛容性を失っており、子供を持つ現役世代が肩身の狭いを思いを強いられている問題も大きいです。

例えば、子供の遊ぶ声がうるさい等の苦情がすぐにマンションや幼稚園に入る時代になっています。

昭和の頃はそういった苦情は殆どなく、のびのびと小学生は近所で元気よく遊ぶことが出来ました。

親の方も神経質に注意をしたり、遊び場所を用意する必要はありませんでした。

ただ現実問題として少子高齢化によって地域の小学生が減って来ている事があり、公園や広場などが相次いで撤去されています。

「更にマンションや幼稚園に僅かな騒音でクレームが入るのは確かに非寛容な事ですが、一方で躾が行き届いていない家庭の小学生や幼稚園児が、奇声をあげてマンションの中庭やロビー、幼稚園の敷地外で危険な遊びをしている現実もあり、言わば正当な形でクレームが届けられている事例も決して忘れてはいけません。」と作新学院の理事長でもある畑恵氏は
おっしゃっています。

そして続いて子育て問題の課題として挙げられるのが、世代間ギャップです。

科学と医療の進歩によって、今までは常識だとされていた育児方法が実は現実的には危険だった、あるいは子供の発育に良い影響がなかった、と判明する事案が増えて来ました。

これ自体は大変素晴らしい事であり、より科学的で医学的に正しい育児方法が確立され、若いママに浸透する事は喜ばしい事です。

一方でいわゆる姑さんは今風の育児方法に酷いアレルギーを示すことが少なくありません。

「自分はこの方法で貴方を育て上げた」という悪い意味での自信と成功体験が姑世代の女性には残っており、最新の科学的な育児や栄養学を受け入れず、若い夫婦側と子育て問題を巡って対立します。

姑さんが必要以上に干渉し、旧態依然とした栄養学や躾を息子夫婦に強要して、そのハラスメントに耐え兼ねた夫婦が実家から逃げるように引っ越す、という問題も各地で起きているのが実態です。

▶️  畑恵のブログです。すべては子どもたちの未来のために。